不妊専門鍼灸院 銀のすずは
自然妊娠から体外受精までの方を専門でサポートしています。

静脈瘤になると精子が・・・。


男性不妊でよく耳にする精索静脈瘤。
一般男性の約15%(6人に1人程度)に精索静脈瘤があると言われています。
比較的、男性にとっては多い疾患ですね。
また男性不妊症患者に限ると約40%の方にこの精索静脈瘤が認められたという報告があります。
精索静脈瘤は造精機能障害を引き起こす原因と考えられており、精液検査の結果の悪化を招く恐れがあります。

男性不妊、精子の質、精索静脈瘤

なぜ精索静脈瘤が悪影響を起こすのでしょうか?
精索静脈瘤ができると精巣を出た静脈血が流れなくなります。
結果、静脈血が精巣に逆流を起こします。
血液って37℃もあるから、温度が高いんです。
だから、精巣温度が上昇し、精巣機能が悪くなります。

また、精索静脈瘤は精巣萎縮や酸化ストレスの上昇の原因にもなり、男性不妊へと連鎖することが多くなります。

酸化ストレスとは、活性酸素と抗酸化作用のバランスが崩れる事をいい、酸化ストレスの上昇がミトコンドリアDNAの破壊により精子を形成する働きを邪魔すると言われています。
精子の頭にあるDNAは、一度傷が付くと修復することができません。
よって傷ついたDNAを持つ精子では、受精、着床、妊娠維持・・・など困難になります。

精索静脈瘤の手術をすることによって精子のミトコンドリアDNAの破壊を減らすことが知られています。
実例では5回顕微授精実施するも胚発生不良で一度も妊娠されなかった方のパートナーが精索静脈瘤を低位結紮術で根治され、顕微授精を実施したところ、良好胚盤胞が得られ、術後初回の採卵周期で無事妊娠されたケースもあります。
ちなみに精子のDNA(遺伝情報)は精子の頭部に存在しています。

では、果たしてなぜ精索静脈瘤ができるのか?

精索静脈瘤が造精機能障害を引き起こす原因はいまだ厳密には明らかになっていませんが、静脈の圧迫や血行不良を起こすことで精子の状態が悪化します。

静脈血の逆流・うっ滞によって精巣の温度が上昇することや精巣が低酸素環境になることなどが考えられています。
そして、精索静脈瘤は左側に発症しやいという特徴があります。
その理由を知るためにはまずは血管の走行を知らなくてはいけません。

男性不妊、精子、精索静脈瘤

精索は、静脈だけでなく動脈、リンパ管、精管が一つの束になっています。
精巣を流れる静脈のうち、右側の「右内精索静脈」は、そのまま「下大静脈」に流れこむことで、血液が精巣から心臓に戻ります。
一方、左側にある「左内精索静脈」は、まず「左腎静脈」に直角に流れこんだあとで「下大静脈」と合流します。
左右の精索静脈はそれぞれの流入するポイントまで長い距離を重力に逆らって流れるため、静脈内には逆流を防止するための「弁(べん)」がついています。
左腎静脈は「大動脈」と「上腸間膜動脈」の間を通っており、これら2つの血管に圧迫されると、腎静脈の弁がうまく機能しなくなります。
弁の機能不全が起こると、腎静脈から精巣に向かって血液が逆流し、血液が滞留・逆流することで精巣につながっている血管がふくらんで瘤のようなものができると考えられています。
左側の精索静脈は左腎静脈に流入しますが、流入する角度がほぼ直角で合流することや他の太い血管に挟まれてしまい逆流するということが考えられています。
このため、精索静脈瘤は右側に比べて、圧倒的に左側で発生しやすいという特徴があります。

症状は?

多くの場合、精索静脈瘤があったとしても特に自覚症状がなく、生活に支障が出ないために自分では気づかないことも多くあります。
まれに症状として陰嚢の違和感や鈍痛を自覚することがあります。
また、自覚症状はないものの造精機能障害による精液検査の結果低下や精子の質の低下が起こり、男性不妊の原因の一つとして大きな割合を占めています。

精索静脈瘤の早期発見につなげるためにも、簡単なセルフチェックをしてみましょう。

精巣(睾丸)やそれを包む陰嚢に以下のような状態が見られれば、精索静脈瘤の可能性があるので、一度泌尿器科へ行き検査を受けることをおすすめします。
・ 左右でサイズが異なる
・ 常に垂れ下がっている
・ 表面が凸凹している
・ 立ち上がったときに鈍痛を感じる


不妊検査で精液を調べ、精子の状態があまり良くない場合、泌尿器科で超音波検査などの詳しい検査をすることで精索静脈瘤が見つかることもあります。

精索静脈瘤の状態を放置してしまうと、精子の運動率が下がる、運動のスピードが落ちるなど、精子機能の低下につながる恐れがあります。
精索静脈瘤と診断されたら、早い段階での治療を検討しましょう。

では、治療は?
男性不妊、体質改善、精索静脈瘤

精索静脈瘤は、男性不妊の原因のなかでも外科的に治療できるものとされています。
ただし、手術を行うかどうかは精液所見の状態や夫婦が妊娠を望んでいるかなどにもよります。
一般的には、精索静脈をしばることで精巣周辺の静脈に血液の逆流が起きないようにする結紮(けっさつ)術という手術が行われます。

・精索静脈高位結紮術
下腹部を切開し、静脈をしばる手術で、数日間の入院もしくは日帰り手術で行っている病院もあります。
広く行われてきた方法で、手術としての難易度は低く短い手術時間で済む一方、精巣水瘤などの合併症リスクがやや高いとされます。
精索静脈高位結紮術は保険が適用され、手術費用は5~15万円程度です。
・顕微鏡下低位結紮術
鼠径部(太もものつけ根)を切開し、顕微鏡で観察しながら静脈を精巣の近くでしばる手術です。
動脈やリンパ管を温存するため、体への負担が比較的少なく病院によっては日帰りが可能です。
病院によって保険適用されるかどうかが異なり、全額自己負担の場合は20~40万円ほどかかります。

そもそも精索静脈瘤にならないための予防策はないのでしょうか?
それはずばり、精巣付近の血流を維持することです。
簡単そうで難しい血流ですが、何とかしたいですね。

当院には多くの男性も来院しています。
その理由は鍼灸は血流改善によいからです。
男性は筋肉質で筋肉量も多く、圧迫が多くなります。
男性は中年太りでお腹が出て、圧迫が多くなります。
この圧迫により血流不全が起こり、精巣に負担がかかります。
痛いわけでもなく、痒いわけでもないため、見逃しやすくなっていますが誰にでも起こりうる可能性があります。
妊活をする男性はぜひ、奥様とともに血流改善を心がける必要があります。
子供は女性一人では作れません。
ぜひお二人で協力していきましょう!!!


何かございましたらご質問ください。
銀のすず